シマシマのストライプ柄:ちょっと意外な「縞」の由来

シマシマのストライプ柄:ちょっと意外な「縞」の由来

IROYAがオープンして2年目。今月はマンスリーカラーではなく、「柄」を軸にキュレーションするそうです。そこで今回は、柄の中でもっともシンプルなストライプ柄をテーマにお届けします。

ストライプ柄のことを、日本語では縞といいます。一般的にストライプ柄はたて方向の縞のこととされています。現代の衣服の素材は、織物とニットに大別され、歴史が長いのは織物の方です。たて糸を主体とする織物は、制作が容易なたて縞が多く、よこ編みが一般的なニットは編み立ての構造上、よこ縞が多いという傾向があります。現在は、プリントで縞状に染めたものもありますが、一般的には異なる色の先染糸でストライプを織り出したもののことを、ストライプ柄(縞)と呼びます。

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舶来の織物「縞物」

縞という言葉が使われるようになったのは、室町時代の頃といわれます。当時、舶来の織物のことを「縞物」を呼びました。縞物の「縞」とは「島」のこと。海を渡ってきたインポートの織物は、武家や商人たちを中心に人気を博し、珍重されました。格子柄のことを格子縞と呼ぶのは当時の名残りでしょうか。縞物には、ストライプ柄だけではなく、チェック柄も含まれていました。

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広東の港から運ばれた「間道」

縞物の中でも、明(当時の中国)の織物は、広東(かんとん)の港から運ばれたことから、「間道(かんとう)」と呼ばれました。間道も縞物と同様に、ストライプ柄とチェック縞に大別されますが、吉野間道、青木間道、鎌倉間道など、所有者にちなんだ名称が残されています。柄の特徴そのものよりも、誰がどんな織物を所有したのかという、人と物との関係が醸し出す「美意識」が重視されるようになったとも考えられるでしょう。

粋な感性の芽生えと「筋」の流行

その一方で、日本語には、たて縞の織物のことを表す「筋」という言葉もあります。平安時代の頃からあったようですが、江戸時代に細いたて縞が流行し、職人たちが腕を競うようになり、
「千筋」「万筋」といった名称の織物が取引されるようになりました。「千筋」や「万筋」の流行は、奢侈禁止令や粋な感性とは無縁ではないでしょう。

このように、たて縞にまつわる言葉の歴史をたどっていくと、インポートの織物「縞物」、セレブリティが所有した舶来織物「間道」、職人技を極めた国産の織物「筋」というように、日本人の価値観や美意識が変容していく様子の一端がうかがえます。

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ストライプ柄(縞)は、織物の中でもシンプルな柄のひとつ。横筋、三本筋、三色筋、横縞、二本縞、斜め縞、かわり縞、よろけ縞、曙縞、滝縞、大名縞、刷毛縞、群縞など、日本語の名称だけでも、さまざまなバリエーションがあります。さまざまな名称が生まれたのは、区別する必要があったからですが、織物が貴重品だった時代の作り手の情熱、それを所有する人への憧れなども託されているようです。

お気に入りのストライプ柄を手に入れたら、愛着を持っておしゃれを楽しみたいもの。柄の名称や逸話を知ることも、着こなしのアイデアを広げるヒントにつながっていくのではないでしょうか。

和モヨウ配色手帖

和モヨウ配色手帖

拙書『和モヨウ配色〜オシャレな“和モヨウ”でもっと磨く配色レッスンBOOK』でも、縞、間道、筋について解説しています。

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