秋滲空

iPhoneographer・SATO × ライター・カツセマサヒコ

1枚の「写真」と「テキスト」で、「1ヵ月」を切り取る。
第1回は、自由が丘・熊野神社から11月の空をお届けする。

 

撮影 /  iPhoneographer • SATO

撮影 / iPhoneographer • SATO

 
毎年のことながら、「秋」という季節は実感することがなかなか難しい。
 
 
夏と冬に挟まれたこの季節はとても曖昧でせわしなく、少し涼しくなったと思ったらあっという間に寒くなり、気がつくと一瞬で過ぎていってしまう。
 
しかしよくよく辺りを見回すと、秋の証明はいたるところにある。
 
ドアノブの静電気の音がそれかもしれないし、 “冷房”に設定されていたエアコンのスイッチを切り替える瞬間や、リップクリームを鞄に忍ばせた日も、見方によってはすべてが季節の変わり目だ。
 
僕らがそうして秋に気付き始める頃に、自由が丘にある熊野神社の木々もまた、ゆっくりと秋色に染まり始める。
 
16時。木々の下から空を見上げると、赤く染まった葉と、夕暮れ時の空が同系色となって重なり、秋の色が空全体に滲んだような景色が広がる。赤すぎるほどの空が視界を刺激し、今が秋であることを全力で証明してくれるのだ。
 
その赤に似合う服を着たり、その赤を一緒に踏み歩く人を探したりするのも、きっと風情があっていいだろう。
 
来月には紅葉した葉も少しずつ地に落ち、今度は空が落ちてきたように地面を赤く染める。
 
そうなるまでに、もう少しこの赤く乾いた時間を満喫してみてはいかがだろうか。
 
 
 

iPhoneographer • SATO
フォトグラファーとしての撮影の他、携帯電話カメラモジュールの設計・開発に携わっていたこともあり、携帯電話での撮影も 1998年来おこなっている。
そして、2010年に iPhone を手にし iPhoneography の世界へと。
iPhone で描写し続けた iPhoneography 作品『 X 』を中心とした iPhoneographer としての活動も行っている。

 

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