IROZA MAGAZINE

Interview 色×インタビュー

【Quantizeインタビュー】オートクチュールの品質をデイリーウエアで身近に

素晴らしいプロダクトには、作り手の意匠が込められています。それは製法なのか、想いなのか、歴史なのか。そんな魅力をお届けするブランドインタビュー。

今回は、世界で活躍するクチュールブランド《Quantize(クォンタイズ)》の代表・川野季春さんと、デザイナー・中村展子さんにお話しを聞いてきました。
版画家やイラストレーター、フレンチのシェフ(!?)とのコラボなど、規格外のスタイルを発信し続けるブランドの、クリエイティブの源とは……。


 
 

−−川野さんと中村さんは同級生なんですよね。

 

川野:出会ったのは小学生のときです。当時はマンガを貸し借りするくらいの仲で、それ以上でもそれ以下でもなかったですね(笑)。それからお互い別々の中学、高校、大学を経て、一緒に仕事をするようになってからは10年以上、トータルでは30年以上の付き合いになります。家族とも親友とも違った、お互いに欠かせないパートナーといった感じでしょうか。既存の関係では言い表せない、特別な存在です。


 

−−そんな2人が、なぜ一緒にブランドを始めることに?

 

川野:Quantizeのはじまりは、学園祭のファッションショーです。私が大学時代に、学園祭の実行委員をやっていて、担当がファッションショーだったんです。そこで、デザイナーを目指して東京の大学で家政科に進み、服づくりも得意だった中村に「やってみない?」って声をかけて……。

中村:すぐにOKしました。ありがたいことに、大学が予算を出してくれたので、かなり本格的なショーが実現したんです。それが好評だったようで、その後7年間も学園祭のファッションショーを手がけました。それが、2人で一緒にファッションに携わった、最初の出来事です。


 

−−そのときにはブランドとして活動していたんですか?

 

中村:ブランドの設立はそれから数年後になりますが、大学卒業後に私は服飾の専門学校に通ったり、川野はNYのスクールでファッションビジネスを学んだりと、技術や知識の習得、構想の話し合いなど、お互いに立ち上げの準備を進めていましたね。ちなみにブランド名は、大学のときから決めていました。


 

−−《Quantize》ですね! ブランド名にはどういう想いが込められているんでしょう。

 

中村:《Quantize》には「ばらばらのリズムを組み合わせて、最高のリズムをつくる」という意味があります。20歳のときに出会ったことばで、素材、性格、人種など、ばらばらなモノを組み合わせて、最高のアイテムや環境を生み出していく、というブランドの考えにぴったりだったんです。

 
 

−−ブランドの中心は、オーダーメイドなんですよね。

 

中村:私服を着る機会が増えた大学くらいから、オシャレしたいけれどサイズで悩むことが多くなって……。腕まわりがキツかったり、ウエストでパンツを選ぶと太ももが入らなかったり、という感じで。それで、欲しいデザインの服を自分でつくるようになりました。あと、既製服だとなかなかサイズが合わない背の高い友人に、洋服をつくってあげたらすごく喜んでくれたんです。それらがきっかけで「着たい服をサイズであきらめないようにしたい」「気軽に自分に合った洋服をオーダーしてもらいたい」と思うようになり、オーダーメイドが軸のブランドになりました。


 

−−クチュールブランドならではの美しいシルエットが映える、シンプルな色合いのものが多いように感じます。

 

川野:オーダーメイドの場合はお客さまの着たい色になりますが、既製のアイテムに関してはブラック、ホワイト、ネイビー、グレーが多いですね。それらのベーシックな色に、デザイナーの気分や社会の状況を表す色をプラスして、アイテムに落とし込んでいきます。

中村:エレガントさとモード感を両立できるような、色×素材の組み合わせも意識していますね。


 

−−新作コレクションは、お料理とコラボしているとお聞きしました。

 

川野:そうなんです! 新作コレクション『dress+ing(ドレッシング) 2017』では、“料理を着る”というテーマを体現したアイテムが、美味しく華やかにラインナップしています。使用しているテキスタイルの料理は、世界的な建築家アルド・ロッシが手がけたデザイナーズホテル「ホテル イル・パラッツォ」の総料理長、村上シェフに担当していただきました。

中村:いつものファッションを華やかにランクアップさせる、テキスタイルを生かした小物類もいろいろ揃っているので、ぜひ取り入れてもらいたいです。


 

−−Quantizeの軸であるオートクチュールを生かした上質なモードと相まって、絶妙な美しさを奏でていますね。

 

川野:ありがとうございます。今まで、版画家やイラストレーターなどとコラボを展開してきましたが、今後もさまざまなジャンルと一緒に取り組むことで、新たな表現や化学反応を楽しんでいきたいです。

 
 

−−どんなブランドを目指していますか?

 

川野:オーダーメイドと聞くと、ドレッシーで高いというイメージで、遠い存在のように感じている人も多いと思いますが、それをもっと身近なものにしていきたいです。

中村:自分の好みがわかっている人はもちろん、なにが似合うかわからない人でも、話し合いながら似合うデザインをつくりあげていくので、気軽に相談してもらえたら嬉しいです。自分のために洋服を仕立てる楽しさを、多くの人に味わってもらいたいですね。

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