インド映画『女神は二度微笑む』謎解きの鍵を握る「赤」

日本では踊るインド映画がブームになりましたが、ハリウッドでは、インド人俳優を重要な役に起用したり、インドでロケ撮影を行うなど、インドに焦点を当てた作品を次々と製作しています。人口12億人を抱えるインドは、ハリウッドにとって将来性のある巨大なマーケットのひとつ。例えば、米ディズニー社はインドの大手メディアやゲーム会社を買収するなど、単に市場としてみるだけでなく、インドの映画産業をビジネスパートナーとしても注目しているようです。

ハリウッドも注目する、新世代のインド映画

2008年にイギリスで製作された、『スラムドッグ$ミリオネア』も、インドの映画産業の実力を示すひとつのきっかけになったと言えるでしょう。『スラムドッグ$ミリオネア』は、翌年の第81回アカデミー賞で、作品賞、監督賞、歌曲賞、作曲賞など、8部門を受賞しました。ダニー・ボイル監督だけでなく、インドを代表する音楽家A. R. ラフマーンも脚光を浴び、活動の場を広げています。

経済発展のみならず、IT大国としても目覚しい躍進を遂げているインドでは、映画産業も盛んです。ラフマーンのような音楽家だけではなく、若手の監督や役者たちが台頭し、これまでのインド映画にはなかった作品を手がけるようになってきました。

ボリウッド女優が“妊婦”を演じる意外性

2012年に製作された映画『女神は二度微笑む』も、新世代のインド映画を代表する作品のひとつ。日本では、2012年アジアフォーカス福岡国際映画祭にて、『カハーニー/物語』のタイトルで上映され、高い評価を受けました。ハリウッドでもリメークが決まり、ようやく日本でもロードショーが決定しました。

 

映画『女神は二度微笑む』予告編

 
回想によって物語を錯綜させ、謎の事件を描き出す手法は、アメリカのサスペンス映画『ユージュアル・サスペクツ』(1995年)を彷彿とさせます。『ユージュアル・サスペクツ』は、渋い演技で魅せるケビン・スペイシーらが演じる、5人の常連の容疑者たち(ユージュアル・サスペクツ)が主人公でしたが、『女神は二度微笑む』は、ボリウッドのトップ女優ヴィディヤー・バーランがヒロインを演じています。

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ボリウッド女優といえば、豊満なボディや悩ましい踊りを連想しますが、本作のヒロイン、ヴィディヤは、ロンドン在住の妊婦という設定です。身重のヴィディヤは、混沌とした熱気が渦巻く巨大都市コルカタ(旧名:カルカッタ)を単身で訪れ、失踪した夫捜しを始めます。妊婦というヒロインに意表をつかれますが、男性から恋心を抱かれるだけでなく、子供にもすぐに懐かれる、魅力的なキャラクターです。

ヴィディヤの夫探しは難航します。宿泊先にも勤務先にも夫がいたことを証明する記録は一切なく、意外な事実が次々と浮かび上がってきます。しかし、ヴィディヤは、過酷な運命に翻弄される弱者ではなく、捜査に介入してきた国家情報局のエージェントも舌を巻く、知的で意志の強いヒロインとして描かれています。

まさに女神降臨のラスト

さて、本作の題名にある“女神”とは、“ドゥルガー・プージャー”の祭りで祝われるヒンドゥー教の戦いの女神ドゥルガーのことを指します。ドゥルガーは優雅な容姿と激烈な気性を兼ね備えた女神と伝えられ、その極端な二面性が本作のミステリーのベースになっています。“ドゥルガー・プージャー”の祭りの日、コルカタの街は、赤いサリーを身に纏った女性たちであふれます。謎解きの鍵は、女神ドゥルガーを象徴する「赤」が握っているのです。

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作品名:『女神は二度微笑む』
URL: http://megami-movie.com/
公開情報:2015年2月下旬 ユーロスペース
配給:ブロードウェイ 配給協力:コピアポア・フィルム 宣伝:メゾン

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