芥川賞受賞!ピース又吉『火花』をファッションで紐解く!

芥川賞受賞!ピース又吉『火花』をファッションで紐解く!

お笑い芸人・ピースの又吉直樹が『火花』で第153回芥川賞を受賞したことは一躍トップニュースとなりました。
いまや発行部数は160万部を超える大ベストセラーとなっています。
そんな本作『火花』はお笑い芸人ふたりのドラマを描いており、帯にはこんな言葉が。
「奇想の天才である一方人間味溢れる神谷、彼を師と慕う後輩徳永。」
「漫才は…本物の阿呆と自分は真っ当であると信じている阿呆によってのみ実現できるもんやねん」
まさにお笑い芸人だからこそ書ける純文学小説となっています。


芸人界のファッショニスタ又吉が描く『火花』のファッション描写とは?

 

そんな『火花』を今回はファッションから紐解いてみようと思います!
ピース又吉さんは芸人界きってのファッショニスタとしても有名。そして、お笑い芸人さんは特徴的な服装を選ぶ方が多いですよね?小説のなかにはそんな又吉さんのファッション観と、お笑い芸人のファッションについての考察が隠れています。

奇想の天才芸人神谷と、それを慕う主人公徳永のファッション遍歴

 

主人公徳永のキーパーソンとして現れる先輩神谷の登場シーンがこちら。
『その人は、虎が描かれた黒いアロハシャツを纏い、着古したリーバイス501を履いていた。
痩身だが眼光が鋭く、迂闊に踏み込ませない風格があった』
 

そんな神谷を慕い、お笑い芸人として世界を広げていく徳永に転機が訪れます。
髪を染める練習台になってほしいと頼まれ、髪を銀髪に染めたのです。
髪の毛に合わせ、服も全身黒、私服も衣装もないため、日頃からそんな恰好で過ごすことが多くなった徳永。
それを見た神谷は『何を着るかということに必然性を感じ、それを選ぶことが重要なのだ』と独自の理解を示しました。

それを機に、銀髪の芸人、として徐々に認知され、深夜帯の番組にレギュラーで出るようになった徳永。

しばらく経ち神谷と再会すると
『神谷さんの髪の毛は綺麗な銀髪に染められており、黒のタイトなシャツに黒のスリムなパンツを身に纏い、
黒のデザートブーツを履いていた。つまり、神谷さんは僕と全く同じスタイルになっていたのだ』
 

それに対しそれはあなたの嫌っていた模倣ではないのか?と戸惑いを露にする徳永に対し
「お前の髪型見て恰好良いと思って」と答える神谷。
 

『それだけのことなのである。神谷さんにとっては、笑に置ける独自の発想や表現方法だけが肝心なのだ。
髪型や服装の個性になど全く関心がないのである~中略~僕達は世間から逃れられないから、服を着なければならない。
何を着るかということが絵画の額縁を選ぶだけのことであるなら、絵描きの神谷さんの知ったことではない。』
 

そんな神谷のお笑いに対するストイックさに尊敬の念を憶える一方で、商業的なこと以外に全く無関心な姿を鑑み、
でもそれでは聴衆に認められない、売れないんだ、と悩む徳永。
 
 

芸人として売れるため、認知されるための服装やファッションでのキャラ立ちについても深く洞察しているのがわかります。
人間として生きる上で大切なもの、葛藤、美学、当事者である芸人という立場からあぶり出した『火花』。
まだ読んでないという方はぜひファッションにも注目して読んでみてくださいね。
 
 

参考:http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163902302

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