「京都」という色について

京都に行きたい。そんなことを一年に4~5回は考えている。春夏秋冬問わず情緒あふれる京都は、雪化粧した景色もすてきだし、盆地ならではのジメジメした暑さにも、どこか趣がある。だから四季に合わせて1度ずつぐらいは、京都に出かけてみたい。
 
そんな京都のすごいところは、「景観が崩れるから」という理由だけで、名だたる企業のコーポレートカラーを全て「京都色」に変えてしまったところだ。人は「好きな人を自分色に染めたい」と思うことがあっても、街まで染めたいとは思わない。京都は、僕らとは規模感が違うのである。
 
京都はシックな色が好きだ。派手な女性を好まない男性がいるのと同じように、京都も外見が華美であることを良しとしない。「スマホをいじる女性よりも、文庫本を読む女性の方が好き」という発想と同じぐらい、とにかく趣を大事にしたいのだ。
 
そんな京都は、昭和5年から景観を守る地区として「風致地区」に認定されたことをきっかけに、昭和47年には全国に先駆けて「市街地景観条例」を制定。現在まで、景観に関する諸問題の解決に向けて尽力してきた街だ。平成16年12月には、日本初となる「景観法」も施行され、翌17年には「京都市景観計画」を打ち出した。その後も制度改定を繰り返しながら、強制力を持たせて、風情ある街並を守ってきたのである。
 
これらの施策によって、京都の街並みは建物の色だけでなく、その高さまで制限された。「あんまり背が高いと圧迫感あるし、怖いよね」って、たまに女子が言うアレと似たようなことだ。背が高すぎるのもまた、困り者らしい。
 
そんな京都の色は、平成23年に「京都市屋外広告物等に関する条例施行規則」の改訂が行われ、市が定めたエリアごとに、「これ以上、派手にしてはだめ」という基準が数値上で設けられた。たとえばある地域では、マンセル値といわれる色相、彩度、明度が規定値を超える場合、その色は広告全体の2割しか使ってはいけない、という制限がかけられる。
 
これによって、企業は独自の色を出すことができずに、「京都色」に染まった店舗を出店することになったのだ。
 
その一例だけご紹介する。

左:いつものセブンイレブン、右:京都のセブンイレブン

左:いつものセブンイレブン、右:京都のセブンイレブン

左:いつものローソン、未右、京都のローソン

左:いつものローソン、右、京都のローソン

いずれも、京都版はとてもシックで、はんなりしている(気がする)。
 
コンビニだけではない。ユニクロやケンタッキーなども、京都に入ると京都の色に染まってしまう。郷に入れば郷に従えとはこのこと。京都というはんなりした街に出店する以上は、そのルールに従わざるを得ないのだ。
 
金閣寺や清水寺などのイメージが強い京都。企業という側面からも、実はその「色」を感じることはできるので、足を運んだ際にはぜひその情緒ある景色を楽しんでもらいたい。
 
 

参考:
http://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/cmsfiles/contents/0000062/62129/HP-japanese.pdf

http://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000102016.html
 
写真提供:OFFICE-SANGA

 

RELATED ARTICLES