「括り」「染め」「織り」のプロセスから生まれる、絣柄の魅力

「括り」「染め」「織り」のプロセスから生まれる、絣柄の魅力

庶民の普段着として親しまれてきた藍染めの着物。藍染めにはさまざまな柄があり、糸を染色する先染めと、布を染色する後染めに大別されます。型染め、ロウケツ染め、絞染めは後染めの技法で、絣は先染めに分類されます。
 

「絣」は、染め分けた経糸(たていと)と緯糸(よこいと)をさまざまなパターンで織ることで、柄や模様を描きます。模様の部分がかすれたように仕上がるので、「カスリ」と呼ばれるようになりました。絣柄は素朴で温かみがあるので、日常に楽しむ着物として親しまれてきました。しかし、絣ができあがるまでの作業は、およそ30工程にもおよび、完成まで約2ヶ月を要します。


井桁(いげた)

 

まず最初に、糸を染める前に行う「括(くく)り」という作業があります。図案を元に、糸に印を付け、麻の皮で括っていきます。しっかりと縛り、括った部分に、染料が入らないようにします。
 

次に、括った糸を「染め」ます。染め上がった糸から括りをはずすと、その部分だけが染まらず、くっきりと白く残ります。
 

このような工程で染められた「絣糸」を経糸に使用するものを経絣(たてがすり)、絣糸を緯糸に用いたものを緯絣(よこがすり)、絣糸を経糸・緯糸の両方に使用したものを経緯絣(たてよこがすり)と呼びます。複雑な柄になるほど、絣糸の種類が多く、「織る」過程で、独特なカスレが現れます。
 


井桁に、色糸を織り込んだ複雑な柄

 

日本には、伊予絣(愛媛県松山市)、久留米絣(福岡県久留米市)、備後絣(広島県福山市)など、さまざまな産地があり、世界に例を見ないほど多くの「絣」柄がつくられてきました。「絣」の起源はインドといわれ、琉球を経て、江戸時代、日本に伝えられたと言われています。
 

絣を織っていたのは、主に農家の女性たちと言われます。良い絣が織れると良縁に恵まれるといわれ、女性たちは夜なべ仕事に励み、技を競い合いました。全国各地に残された、さまざまな絣柄は、農家の女性たちが絶えず発想を積み重ね、技術を磨き続けてきた結果、生まれたもの。一見素朴に見える絣柄が、生き生きとした魅力をたたえているのは、幸せになりたいという願いと細部まで計算された熟練の技の結晶だからなのかもしれません。
 
 

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