『太陽の季節』(石原慎太郎)(新潮社)

前回取り上げた中内㓛は企業家としてまさに戦後日本の代表と言えますが、ご存知、石原慎太郎は政治・文化における戦後の1つの象徴とも言える人物。彼の文壇デビュー作であると同時に代表作がこの『太陽の季節』です。新時代の象徴として刊行当時大いにクローズアップされ、「太陽族」という流行語まで生んだことを学校の授業で知り、手にとったのが最初の出会いです。中学生のときには全く内容を理解できませんでしたが、主人公と同じ大学生の年頃になると作中の群像劇を少し(いやかなり)羨んで読むことができました。ああ、今の自分にはこんな学生生活は待っていなかった、と。

7月#2画像2


 

社会に出てしばらくして読み返したときは嫉視も消え失せ、とにかく面白かった。とにかくツッコミどころ満載です。障子を突き破る有名なシーンは、ギャグ漫画の1コマのように笑え、ラストも「ワハハ、やっぱりこうなっちゃったか」と。読む年齢で読み方も読後感も変わるのが純文学の面白い部分だと僕は思いますが、『太陽の季節』もしっかりその面白さは担保してくれています。識者の方によっては評価がかなり分かれる作品のようですが、お読みでない方は是非、一読をオススメします。政治家・石原慎太郎と全く別の一面を知ることができる一方、彼の言動にどこか潜む一種の「サディズム」についても納得がいくように思います。

===
【関連記事】
『カリスマ』(佐野眞一)(新潮社)(筑摩書房)

RELATED ARTICLES