心地よさへと誘う、シャネルのベージュ

トレンチコートのベージュ

IROYA10月のマンスリーカラーは、ベージュ。コラム「『ルパン三世』銭形警部の愛用品、バーバリーのトレンチコート」では、バーバリーのトレンチコートのベージュに着目し、DICデジタルカラーガイドから、DIC-F18 BEIGE、DIC-N784 ベージュ、DIC-N782 素色(しろいろ)の3つのベージュを取り上げました。ベージュという色名の本来の意味は、晒さない羊毛そのままの色ですが、20世紀以降、モードの定番色のひとつとなり、そのイメージは変化してきたようです。
 
バーバリーの創立は1856年。1879年、耐久性・防水性に優れた織物「ギャバジン」を考案し、1895年、トレンチコートの前身となるイギリス人士官用の「タイロッケンコート」を製造しました。ミリタリーアイテムとして考案されたトレンチコートは、極地探検家の防寒着、パイロットの飛行用衣料として愛用され、ブランドイメージが確立されていきます。現在では、機能性と様式美を兼ね備えた、ユニセックスなファッションアイテムとして定着していますが、バーバリーのベージュは、今なお、男性的なイメージが強いのではないでしょうか。

シャネルのベージュ

バーバリーに代表されるベージュのイメージを、転換するひとつのきかっけとなったのは、ココ・シャネルが発表した、ドレスやスーツです。ココ・シャネルは、1910年、パリのカンボン通り21番地に帽子専門店を開店し、1913年、リゾート地ドーヴィルに第1号のモードブティックを開店。続いて1915年、ビアリッツに「メゾン・ド・クチュール」をオープンし、デザイナーとしてのキャリアをスタートしました。「ジャージ素材のドレス」「リトル・ブラック・ドレス」「ツイード素材のスーツ」など、既存のイメージを逆手にとったデザインを発表し、「古い価値観にとらわれない女性像」というイメージを築き上げ、ファッションの歴史を刷新しました。

 
 

"INSIDE CHANEL"、第11章のテーマは「シャネルの色」。黒、白、ベージュ、ゴールド、レッドをシャネルの色として、それぞれの色にまつわるエピソードなどが紹介されています。
 
ベージュは、暖かくシンプルでナチュラルな色。心地よさへと誘う色であり、白と黒の聖なる融合に対して、ベージュは中性的。エレガンスを高める色でもあります。シャネルのベージュは、都会的なパリではなく、ココ・シャネルが生まれたオーベルニュの大地、ドーヴィルやビアリッツといったリゾート地、ヴェネチアのリド島の砂浜など、アウトドアとの結びつきが強調されています。

打ち寄せる波によって表情を変える砂の色

左から順に、DIC-F250 SABLE、DIC-F251 SABLE MOUILLE

左から順に、DIC-F250 SABLE、DIC-F251 SABLE MOUILLE

フランスの伝統色には、SABLE(サーブル、砂の色)、SABLE MOUILLE(サーブルムイエ、濡れた砂の色)といった色名が見られます。打ち寄せる波によって、表情を変える砂の色。リゾートの開放的、官能的な雰囲気が感じられるのではないでしょうか。

21世紀に生まれた、2つのベージュ

21世紀になり、シャネルは、2つの新しい「ベージュ」を展開しています。ひとつは、2004年、シャネル銀座ビルディング10階にオープンしたフレンチレストラン「ベージュ アラン・デュカス 東京」です。インテリアのすべては、世界のシャネルブティックすべての設計を担当するデザイナー、ピーター・マリノ氏によって演出され、“シンプル&エレガント”のテーマのもとに選ばれたアイテムがテーブルに並びます。

もうひとつのベージュは、2013年に発売された、「レベージュ」という、ファンデーションよりも軽い仕上がりのBBクリームのシリーズです。

DIC-F250 SABLE、DIC-F240 ROUGE ARDENT

DIC-F250 SABLE、DIC-F240 ROUGE ARDENT

シャネルのベージュは、光を浴びて健康的に輝くナチュラルな肌の色であり、ルージュの色を引き立てる背景の色でもあるのです。
 
参考
バーバリー公式サイト - burberry.com‎
Inside CHANEL シャネルの色
ベージュ アラン・デュカス 東京
CHANEL レベージュ

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