色違いと言うけれど

7-A


 
最初に『文体練習』という名著をご紹介したいと思います。

7-B


超短編をありとあらゆる99もの文体で書き分けるという超人的な技巧だけで成立しているシンプルな本で、ご興味ある方は是非、書店で手にしていただきたく思います。僕の本業であるコピーライターの仕事は、例えば「新発売」を色んな切り口から魅力的な言葉を探したり、「美味しい」を記憶に残りやすい形で新しい言い方を考えるといった仕事なので『文体練習』に惹かれたのだと思います。
この本の素晴らしい部分は「書き分け」なのですが、色も実は同じ効果効能を持っているのでは?と僕は考えました。


7-C


 

ある1つのジャンルやモチーフが同じでも色を変えるだけで、その商品から受け取る僕たちのイメージはガラリと変わる。例えばVANSのスニーカーはスケーターという連想を強く受けますが、IROYAのサイトを見ているとこちらのVANSはスケーター臭がゼロです。


7-D


Vans-Old Skool / CARMINE ROSE / TRUE WHITE
 

実際にIROYA店頭で見ましたが、とにかくカワイイ。買おうかな、と思いましたが男性ゆえか勇気が出ず一抹の名残惜しさとともに店を後にしました。定番のOld Skoolなのにこんなにも色で違って見えることに大変驚きました。色違い、と簡単に言ってしまわず色へ意識を(わりと)強 めに持って、モノを見るのは楽しい。この感覚は『文体練習』の楽しさととてもよく似ています。


 

こちらのTシャツも色で僕たちの意識を変えてくれます。


 

7-E


OMIYAGE by POURTON DE MOI-トライバル TEE GREY


 

トライバル、と書いてあるのに全くトライバルな色ではありません。最初見たとき、どこがトライバルなんだ?色はもちろん、形もちっともトライバルじゃない(辛うじて動物の顔)。けれど、真っ当にトライバル「らしい」服(民族衣装・民族衣装からインスパイアされた服)よりも、トライバルの意味に改めて向き合わせてくれると感じました。


 
似た例の服はまだありました。
 

7-F


Dolly&Molly-DDBOP006 WHITE
 

最近、街で特に若い女の子が数字や英単語が大きくプリントされた服(主にTシャツ・スウェット)を着ていますが、ブランド名ドンっ!都市名ドンっ!が多い印象のなか「花」です。色もモノクロ。自然界にそんな花はありません。

そう言えば、そもそも自然界に完全な「黒」をまとうモノは存在しないと聞いた覚えがある。この服が「予定通り」の色からズレていたからこそ、「花」に今一度向き合い直したという訳です。

 
今回は『文体練習』という文学から得た知見を、モノの色違いへ少し応用する試みでした。
色違いは違いの中身へ踏み込むと、視界をいつもより新たにしてくれるようです。
 
次回もお楽しみに。

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